文系プログラマによるTIPSブログ

文系プログラマ脳の私が開発現場で学んだ事やプログラミングのTIPSをまとめています。

プログラマはもっと文字・絵・図を手で書いた方がいいと思う

手書きを侮ってはいけない。
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blog.livedoor.jp

この記事を見ていて、ちょっと思うところがありました。

8:名刺は切らしておりまして 2015/12/13(日) 17:51:39.07 ID:gwbm/i0E.net
スケジュール管理はスマホ 
メモはメモ帳 
手帳はいらないな・・・

スケジュールはgoogleカレンダー等でいいんですが、メモ帳への手書きは見直した方がいいんじゃないかと思っています。特に自分用のメモではなく、他人に何かを説明する時のメモ書き等についてです。今回はその他人に何かを説明する時のメモ・走り書き・お絵かきについてのお話です。

この記事の前提事項

綺麗で正しくきちんとした資料作りを目的としておらず、使い捨て、走り書きの絵・図を書く、というのが目的となっています。

もしきちんとした図をツールで書きたいのであれば、以下がオススメです。

Flow Chart Maker & Online Diagram Software
Cacoo(カクー): アイデアを今すぐこのキャンバスに

綺麗に図を書けるし、共有も簡単にできます。

漢字が本気で書けなくなってきた

昔「キーボードで文字を打ちすぎると漢字が書けなくなるよ」という話はよく聞きました。その頃はまだ私もバリバリ漢字が手書きできたのですが、最近やたら漢字が書けなくなってきました。(単にボケ・老化が進んだのだと思いますが)

頭で書こうとしている漢字は一瞬で思い浮かぶのに、いざそれを書こうとすると筆が止まってしまうのですよね。本気で思い出せなくなってきています。大雑把なイメージはすぐ湧いてくるのに、細かい部分がどうしても思い出せないのです。今こうしてブログで記事を書いてますが、これを手書きしろと言われると、多分書き方を忘れている漢字がたーくさん出てきます。

私のようなおっさんがそうなる分にはいいんですが、スマホの驚異的な普及で若年層まで漢字が書けなくなってきています。
www.nikkei.com
恐らく将来的には「手で書く」という行為が消滅するのだと思いますが、今書けなくなるのは本当にヤバイですね。

特にプログラマーは普段プログラム言語という機械の言葉ばかり扱うので、ますます日本語から離れていってしまいます。プログラマーの中には健康診断や年末調整や社内資料くらいしか手書きで文字を書かない人も多いのではないでしょうか。会社では他人に何かを説明する機会は結構多いので、その機会に自分の手で文字を書く事で多少は漢字忘れも防げると思います。気休め程度かもしれませんが・・

簡単なお絵かきで概要を説明できるか

www.bunkei-programmer.net

以前書いたこの記事の補足になりますが、説明がやたら下手な人に、「簡単なお絵かきで私にそれを説明して下さい」とお願いしてみると、これが全く筆が進まない。口頭で説明して貰うと↑この記事のように全く駄目だし、かといって文章だと説明の粒度が細かすぎるので、お絵かきで概要を説明して貰おうとすると、書けない人は多いです。

パワーポイントでカジュアルな感じのスライドを作れという訳ではなく、走り書きでサッと書いてサッと説明して欲しいのですが、それができないんですよね。物事を構造的に把握しているのであれば、絵で書く事は容易いと思うのですが、断片しか説明できない人が多く、ほとんど筆が進まない人が多いです。

今はペーパーレスの時代だろ。老害かよ。

そうですね。確かにタブレット等でも書き書きできますが、遅い、遅すぎるのです。excelや何らかのツールでお絵かきすると、非常に遅い場合がほとんどです。ツールを使うとどうしてもグリッドの幅や位置を気にしてしまったり、アイコンの大きさを揃えたくなったり、修正する時に削除要素をポチポチ削除する作業が必要だったり、本質的でない部分に時間を取られがちです。紙にザーッと走り書きで図や絵を書く方が圧倒的に速いです。マウスやトラックパッドでポチポチするより手で雑に走り書いた方が遥かに速い場合が多いです。

私もできればペーパーレスの方がいいんですが、とにかく電子機器へのメモだと速度が遅くて、時間が勿体無いのです。使い捨てのお絵かきで概要を説明するのにいちいち5分とか10分かけるのは時間の使い方が勿体無過ぎる。10〜30秒程度で超大雑把なお絵かきをするだけでも相手に伝わります。

一応iPad proとiPad Pencil等で手書きを再現する事はできますが、デバイスが場所を取り過ぎて邪魔だし、充電も時間かかるし、何より高価過ぎます。こんなものに万円単位のお金をかけていられません。使い捨て・走り書きのお絵かきのためにこういった電子機器を導入するのは正直現実感無いのではないかと思います。

絵が書けないという事は断片しか理解していないという事

前述で少し書きましたが、絵が書けるという事は、構造的に物事を把握できています。絵が書けないという事は、断片しか理解できていません。綺麗な絵を書けなくても構いません。ガタガタの図でもいいんです。書くことができるかどうかが問題です。

断片と断片を繋ぎ合わせると、絵になります。断片が書ければあと一歩です。もう少しでその断片は構造を表す絵になります。そこまで書ければ深く理解している可能性が高いです。

言葉で説明して伝わるだろ?アホなの?

お絵かきで説明する事は、沢山の人に汎用的に伝えやすいというメリットがあると思っています。

例えば技術職の人が営業職の人に、論理的な構造を説明するのに口頭で説明してもほぼ伝わりません。それどころか、技術者が技術者へ説明しても、認識の齟齬が生まれる事は日常茶飯事です。言葉で伝わらなくても、簡単なお絵かきを見せると相手にイメージが湧きやすくなるので、伝わり易くなります。

言葉だけで物事の構造を伝える事は中々難しいので、どうしても認識がズレていってしまう事もあります。まずはお絵かきで脱線しないように大枠・概要を理解して貰って、細かい話はそこから掘り下げていかないと、「あ、そういう話だったのか。てっきり◯◯の話だと思っていたよ」とか、入り口から間違ってしまうすれ違いが起きる事もあります。そのすれ違いを防ぐ意味でも、走り書きのお絵かきがあるといいと思います。

私が思うツールのイケてないところ

  • マウスポチポチの動作が遅すぎる。
  • 要素から要素へ繋げる矢印。ノートならうねうね超スピードで自由に書けるのに、ツールだと直角だったり決まった角度でカーブする場合が多く融通がきかない。その調整をする時間が勿体無い。
  • どうしても絵やアイコンを綺麗にしたくなってしまう。そして位置をグリッドにピッタリ揃えたくなる衝動に駆られる。
  • 絵と表を同時に扱いにくい。
  • フォントサイズの調整の手間。
  • サイドバーから目的のアイコンや図を探し、目的の位置にドラッグ・移動する手間。
  • 作業領域の調節の手間。確かvisio等は標準のキャンパスサイズが非常に狭く、ほとんど絵が書けなかった記憶があります。

雑感

最近とにかく絵やDBの図をノートに書きまくるので、キャンパスノートの消費が激しいです。1冊2ヶ月くらいで使いきってしまいます。(少ないかな)

図や絵は大きく、表も大きめに書くので、ますます消費スピードは早くなります。1回の説明で1ページ使ってしまう程の雑さ加減です。勿体無いノートの使い方をしてる自覚はあるのですが、勿体云々よりも「もっと速さを・・!もっともっと速く!!」という事を中二っぽく心がけているので、雑に沢山書いています。英単語も数文字書けば後は口頭でフォローできるから単語の末尾部分はもう何書いてるか解らないし、漢字もごにょごにょって書いて何書いてるか解らない部分も多々有りますが、重要なのはそこではなく、概要・構造・全体像をお絵かきで把握して貰う事にあります。

以前は全くお絵かき説明をせず口頭ばかりだったのですが、試しにお絵かきしてみたら、これが全く何も書けなくて愕然としました。単語をポロポロ並べるくらいしかできないのです。そこで始めて「ああ、自分は構造というか、全体像を他人に説明できる程理解して無かったんだ」という事をはっきり認識しました。それから他人に説明する時はノートを使ってババっと手書きで説明する機会が増えました。実際絵を書いてみると、「この位置にこの表を書いてしまうと、他の要素が書けない」等、複数の要素の関連を意識するようになって、自然と全体像を意識するようになります。


最近有名なベンチャー系のIT企業でもトヨタのカンバン方式を採用していたり、ホワイトボードに付箋をペタペタしたり、結構アナログな方式も見直されてきていますね。
www.publickey1.jp
タスク管理ツールのredmineやjiraにもかんばんが現れましたが、ツールに頼りきるのではなく、こうしたホワイトボードに付箋を張る企業も沢山あります。

ツールを使おうとすると「こういう設定にしておかないと後で拡張する時に困る!」だの「よし!皆で最強のワークフローを最初に作ろう!運用はそれからだ!」だの「他のデータとの連携が云々!」とかいってそもそもスタートすらせず終わってしまう場合が多いので、アナログ方式で「とりあえずやってみる」というのも重要かもしれませんね。特にプログラマーの場合は「真っ先に行動に移す」よりもそもそもの設計から考えだしてしまい、収集がつかずに企画がポシャる可能性が高いので尚更です。

世間でも言われていますが、デジタル一辺倒にならず、デジタルとアナログを上手く使い分けて取捨選択していきたいですね。特にIT企業ではデジタル色で染まっている傾向が強いので、ノートに文字や図や絵を書いたり、付箋で管理してみたり、アナログのメリットについてもう一度考えていきたいですね。