文系プログラマによるTIPSブログ

文系プログラマ脳の私が開発現場で学んだ事やプログラミングのTIPSをまとめています。

失敗への執着と成功への無頓着がもたらす停滞と安心感

記事タイトルを 劇場版トリハダ っぽくキメてみました()


f:id:treeapps:20160809183743p:plain

こんにちは。

世間で散々disられているWEB系SIで最底辺のプログラマーをしているtreeです。

最近仕事をしていて思う事があります。

まあタイトル通りなのですが、これはIT業界に限った話ではないとは思いますが、

バグやオペミスについては信じられない程執着(原因追求・対策)するのに、成功に関してはほぼ関心が無く無頓着である

という点です。

失敗への執着

具体的に言うとこういう事です。

意図していなかったパラメータが渡されてしまい、500エラーが発生するというバグが起きた。すると、いつもは静かで全く元気も覇気も感じなかった人達が、水を得た魚のように突然元気になりバグの原因の追求(発生した日時・起きた事象・影響範囲・対策)をしだした。

まあよくありますよね。普段は存在感ゼロな人が、ある特定の話題になると突然ゾンビだった者達が禁忌の力を手に入れて人間に昇華するかの如く活発化するという。

では逆の場合はどうでしょう。

色々紆余曲折はあったが、最終的にプロジェクトはうまくいった。しかし、バグの時にあれだけ元気だったゾンビ達が、今回は人間に昇華せず、ダンマリで一切喜びもしない。そしてついに何故成功したのかを考える事は無かった。

はい。これです。

失敗した事に執着する事は大好きなのに、成功した理由を考える事への執着はゼロ。

何故なのか。異常なまでに抑圧されたSI業界では、他社を責めたり追求しないとやっていられないのか。それともそうする事でしか存在感をアピールする事はできないのか。追求する事で安心感を覚えるのか。

B to Cの場合はモンスタークレーマーを納得させるため、何時何何分何秒、地球が何回回った時、サーバがこういう状態だったのであなたの操作中にエラーが起きましたよ〜、と説明する必要があります。執着する理由の一つはそれなんですよね。

まあなんと非生産的な行動か。ユーザ側も、自分が操作している最中にエラーが出た事に執着するよりも、このサイトでは他サイトよりもいい買い物ができたのは何故なのか、を考えた方が精神衛生上よろしいでしょうし、ポジティブになれますよね。しかし実際は皆失敗に執着し、成功体験を分析しません。

事務のおねえさん「こういう理由でお客様がアクセスできない状態でしたすみません」
   くれいまあ「ふむふむそうか。けしからんな!ガチャ。ツーッ、ツーッ・・・」
事務のおねえさん「ぶっころ^^」

↑こんなやりとりを心底望んでいるユーザが存在するので、開発ベンダである我々が「何時何何分何秒、地球が何回回った時、よしお君(くれいまあの仮名)の身に何が起きたか」を血眼になって調査するお仕事はなくならないわけですね。この事の良し悪しは置いておいて、失敗への執着がなくならない理由は解りました。

成功理由への執着

誰か執着しろよ

多分ですが、SI業界がそういう働き方をしてきてしまったせいなのだと思います。

プログラマも営業もマネージャーもデザイナーも、失敗を繰り返さない訓練・修行はしていても、成功理由を分析する事は苦手です。せいぜいGoogle Analyticsを開いて、何となくランディングページが〜、離脱率が〜、と言っているくらいですね。

しかし皆成功理由の考察に慣れていないので、「ふむふむ解った(解ったとは言っていない)。ではそれ(よく解ってない)を強化せよ」と解らないまま投げられ、投げられた方も何となく対応してその気になります。

実際の開発現場なんてこんなもんです。(私が知っている現場に限った話ですが)

あれこれ言っている私も成功の分析が苦手なので、果たして「こんなもの」で片付けていいものか判断に困りますが、失敗への執着度合いと比較して、成功への執着度合いは明らかに手抜きに感じています。

失敗に執着した結果

当たり前ですが、現場の雰囲気は徐々に重くなっていきます。

マネージャーも、「失敗した時は激しく追及されるから、あまり無茶な事はするな」と保守的になっていき、エンジニアは萎縮していきます。その状態が続くと、当然停滞します。

その停滞を破壊しようにも、皆がそういう意識で凝り固まってしまっているので、難易度は非常に高い場合がほとんどです。

こういう停滞が続くと、バグが起きにくい、波風が立ちにくい状況を「安心」と感じてしまい、見事「失敗への執着と成功への無関心」状態が生まれるのです。

失敗が少ない事に喜び、成功に喜ばないという、闇が深いわけが解らない状況になっていきます。


失敗への執着によって思い切った提案・攻めの提案も徐々に減り、売上も停滞気味になります。せいぜい競合他社が上手くいってそうな事を真似する事くらいしかできなくなります。

するとクライアント側で売上が上がらない事に焦りだし、発破をかけるのですが、皆失敗への執着や恐怖によって既に萎縮しているので、ディフェンシブな代替案、大きめのリスクを織り込んだ見積もりを出さざるをえなくなり、結果として停滞は続きます。

雑感

こういうのって日本のお国柄なのですかね。

失敗に関して盛り上がるのが大好きで、成功に関して喜んだりしないという。「成功は当たり前なので喜ぶ価値も無し、だが失敗、お前は駄目だ。許さない」みたいな感じですかね。


色々なサイトのはてブコメントを見ても、ポジティブな意見での盛り上がりよりも、ネガティブな意見(考察が甘い記事に対する重箱の隅を突く行為や無意味な揚げ足とり)での盛り上がりの方が多いような気がしているので、やっぱり皆ネガティブに汚染されてるんですかね。

まあはてぶがそういうところだから、という面もありますが、やはりネガティブは停滞の原因になるので、何とかしていきたいですね。


失敗した事に対する原因調査と対策は勿論するのですが、もっと静かに穏便に済ませ、成功を喜んだ方が、結果としてみんな生き生きとするでしょう。

しかし今の世の中、誰かを責めて追求する事に命を懸けている人が増えてきているので、まずそのマインドから何とかしないと、仕事してても辛いだけだよなあ、と思うのです。