他人に仕事を依頼して成果物を見てみると、想定と全然違う!!という事はよくありますよね。今回はそうならないためにどうするかを考えてみます。
※ この記事は半分くらいフィクションです。
依頼された側
仕事を依頼された側を仮にAさんとします。
Aさんの上司がAさんに仕事を依頼します。しかしAさんは何故か上司が想定する成果物とは大分異なるものを提出してしまいます。一体何故でしょうか。
Aさんは相手の立場になって考えていない
Aさんはまず、「自分が成果物を受け取る側だった場合の事を考えていない」のです。Aさんは相手の事が考えられないので、「言われた事を何となくこなした。この成果物を相手がどう使うかも知らないし、考えもしない。」で終わってしまいます。その結果、全く見当外れな成果物を作ってしまいます。
もし自分が受け取る側だった場合、今自分が作っている成果物を渡されて、困らないだろうか?その成果物を相手はどう使うのだろうか?と、たったそれだけ考慮すれば、的外れな成果物を生み出しにくくなります。要は相手の立場になって考えるだけの事なのです。
例えばAさんは上司から「表形式でデータ一覧をくれ」と仕事を依頼された場合、普通はexcelの成果物を連想しますよね?しかしAさんはなんとPowerPointで資料を提出してしまいました。これでは上司は激怒してAさんは見限られてしまうかもしれません。
ではここで相手の立場になって考えてみましょう。
何故表形式なのだろう?
上司さんは「集計したい」「貰ったデータを更に加工する可能性がある」「テキストに出力し易い」などと考えて「表形式で」といったかもしれませんね。それなのにパワポで資料を提出してしまったら、これらは全くできません。
データ一覧
単純にデータを閲覧したい、データをフィルタして目的のデータのみを抽出したい、集計したりサマリーを出したい、等と「データ」という言葉の先に何があるのかを考えると「パワポで印刷したい」という成果物にはなりにくいと思います。
パワポのファイルを渡されたら相手はどう使うだろう?
パワポはプレゼン用のソフトなので、データのフィルタや集計や加工は基本的にできません。最終的なアウトプットが「印刷して配布する」か「プロジェクターで映す」くらいしかありませんね。営業職の上司ならパワポを欲していた可能性もありますが、依頼者の上司は技術職の上司です。技術系の人がそんなものを欲しがるだろうか?持ち前の技術でexcelを上手いことフィルタ・加工してプロジェクターに移したりするのではないか?等と考えると、上司が求めた成果物がパワポである可能性は極めて低い事が想像できます。
ちょっとよく解らないな
依頼者が言葉足らずだった場合はよく解らない場合が多く、大抵認識の齟齬が生まれます。その場合は前述の相手の立場になって考えたうえで、「データを集計したりしますか?ならexcelで問題ありませんか?」と聞きましょう。ここで何も効かずパワポを送りつけると、Aさんは翌日には自分の席が無くなっているかもしれません。
依頼する側
アウトプットを明確に伝える
単に「表形式でデータ一覧をくれ」ではなく、
いつ?(When) | 明日 |
---|---|
どこで?(Where) | 客先で |
誰が?(Who) | お客さんが |
なにを?(What) | excelのデータ一覧を |
なぜ?(Why) | 色んなパターンの集計結果を見たいと言っているから |
どのように?(How) | お客さんがその場で言った条件でデータを集計したい |
だから、「表形式(excel)でデータ一覧をくれ」、と言いましょう。
このように5W1HでAさんに仕事を依頼すれば、Aさんの認識の齟齬を軽減する事ができる筈です。
Aさんにどういう成果物を作るつもりか聞いてみる
5W1Hを伝えても、まだ認識の齟齬が起きる可能性があります。
その場合、具体的にAさんにどういう成果物を作るつもりかを聞いてみます。ここでAさんが言葉に詰まったりしたら、Aさんは上司さんが言ったことを実は理解していない、または依頼内容をほとんど読んでいない、という事が解り、事前に的外れな成果物を作らせないように再度認識合わせを行う事ができます。
Aさんが自分の頭で答える事ができるまで、Aさんに説明させましょう。
事例
- お客さんはITリテラシーが低いので、誰にでも解る言葉で資料を作って欲しかったのに、それを考慮せず専門用語だらけで全くよめない資料を作ってしまった。
- フォルダ構造を維持したままのhtmlデータ一式(html、css、js、画像等)が欲しかったのに、フォルダ構造を無視してrootフォルダ直下にフラットにファイルを配置して渡してしまった。
- 画像の縦横幅を小さくしてくれと依頼されたが、何故か元のファイル名をリネームした連番のような画像一覧を渡してしまった。
- html一式くれと言われたが、cssとjsをminifyしたものを渡してしまった。
このような事をしてはいけません。相手がそれら成果物を渡されたら困りますよね?というかもし自分がその成果物を渡されたら困りませんか?相手の立場になってよく考えましょう。
お客さんは専門用語を理解できるか?
フォルダ構造を破壊して相手はどのようにその成果物を使うのか?
画像のファイル名を変えてしまったら、相手は元々のファイル名をどうやって把握するのだろう?
css・jsをminifyしてしまったら、相手はそれらを加工するのが難しくならないだろうか?
少し考えれば明らかに困るであろう事が想像できると思います。
雑感
私の周りにも、認識の齟齬が異常に多く、いつも怒られている人がいます。その人はやはり「相手の立場になって物を考えない。どういう成果物を作るつもりなのかの説明をさせると答えられない」のです。
これでは依頼者の仕事が減るどころか、増やしてしまう可能性もあります。そうなってしまうと相手の信頼が地に落ちるだけでなく、「あいつは無能な働き者、組織で最も厄介な人種である」という最悪のレッテルが貼られてしまうかもしれません
そうならないためにも、常に相手の立場になってものを考える事を忘れないようにしたいですね。

- 作者: 吉越浩一郎
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2011/09/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (6件) を見る

同じ条件、同じ時間で 10倍仕事ができる人、10分の1しかできない人
- 作者: 鳥原隆志
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/02/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る

- 作者: 加藤俊徳
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/01/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る