web系の企業に勤めている私は実際にSEO業者と関わっていますが、
「SEO業者にこんな仕事をさせるのは勿体無い!」
と思うことがちょっと多すぎると思ったので、SEO業者には本来の仕事をして貰いたいな、と考えています。
その中で、SEO業者に依頼する前に最低限やっておきたい、検討しておきたい事をまとめてみたいと思います。
極力避けたい状況
まず、多分これはアンチパターンだな、と私が考える最も避けたい状況を定義します。
- いきなりSEO業者に依頼する。
- SEO業者がごくごく初歩的な部分を指摘してくる。
- 対応する。
これです。本当にこういうのをよく見てきました。
何故最悪かというと、事前準備も無く依頼するものだから、初歩的なSEOすらできておらず、SEO業者もまずはその初歩的な事を指摘せざるを得ないので、仕方なく初歩を指摘するのです。
そしてその指摘内容一覧を見て、「なんだ、全部知ってるよこの指摘内容」と考えてしまい、「SEO業者って使えねー」と考えてしまいます。しかし実際は「まず初歩をなんとしないと、そこから先の施策ができない」から初歩を指摘するのであって、初歩しか知らない訳ではないのです。
なので、初歩を指摘させてしまうような「事前準備を全くしないあなたに問題がある」という状況が、最悪なのです。「知ってるよ」と言うなら依頼する前に対応すればいいのです。
そんな最悪の状況にならないためにも、ちゃんと事前準備をして、SEO業者に最高のパフォーマンスを発揮して貰いたいですね。
googleのサイトに載っているような事は事前にやるべし
この辺に載っているような事は事前に開発者側でやっておくべきで、SEO業者にはそこから先の、経営戦略やマーケティング等と関連した施策に注力して欲しいです。
やるお君、我が社は今後◯◯をしたいと考えている。そのために君は現状のサイトにどんな施策をしていくべきか、考えて実装してくれ。
私は開発者なので、検討する事は管轄外です。検討すべき内容を指示して頂ければ実装できます。
本当は開発者も経営的・営業的視点を持って開発に臨むべきですが、まあ大抵の開発者はそんな事やりたがりません。
我々開発者は「実装する事は好き」ですが、「何を実装すべきかを考える事を嫌う」傾向があります。そこをSEO業者に活躍して貰うといいでしょう。
ではSEO業者に依頼する前に、最低限やっておきたい・検討しておきたい事を見ています。
一部SEOと呼んでいいのか解らないものもありますが、気にせず挙げていきます。
事前に対応・検討しておきたこと
サイトマップxml
3〜4年前までは、極力沢山のURLを載せるようにしていました。
しかし最近ではむしろ少なくするべき、という風潮があるようです。
例えばサイトマップxmlに載せるのは「新着商品」等の新着データのみにして、一度検索エンジンが認識したURLをサイトマップxmlに載せないようにし、余計なクロールを減らすといいようです。
javaでサイトマップxmlを実装する方法ですが、以前以下の記事を書いたので、合わせてご覧下さい。
検索結果画面のURL数増加の対処
検索結果画面は検索条件が多く、URLパラメータに「?xxx=xxx&xxx=xxx」と、沢山のパラメータが並びがちです。
パラメータの数だけ組み合わせがあり、それを検索エンジンに全て認識させると、「URL多すぎだぜ?」と検索エンジンから通知が来る事があります。
その辺りの組み合わせによるURL数増加が原因でクロールが遅くなる可能性もあるので、noindexで抑制する事もいいようです。
例えば、
- パラメータが1つでもついたらnoindexする。
- 重要度が高いパラメータがついた場合はそのままにし、重要度が低いパラメータがついた場合だけnoindexする。
等といった対応がいいでしょう。
ソフト404対応
検索結果が0件ヒットだった場合は、ちゃんとHTTPステータスコード404を返すよう実装しましょう。
404を返さないと検索エンジンはまだそのページが有効だと判断してクロールしにいきます。すると不要ページのクロールにリソースを割かれて、新着データ等、優先してクロールして欲しいURLのクロールが遅れるかもしれません。
title・descriptionの重複
簡単に重複を回避する方法として、商品データのID等の絶対に重複しない事が約束されているデータをtitleに含める方法があります。
まずは商品IDなど、確実に重複しない項目を探しましょう。
rel="next" と rel="prev"
設定しなくても大丈夫ですが、設定すると検索エンジンはよりそのページの構造を把握しやすくなるので、是非設定したいところです。
canonical
設定できるページは全てのページで設定しておきたいところです。
httpとhttpsが違うだけで別のページ扱いされたり、wwwがついたりつかなかったりするだけで別のページ扱いされたり、SNS等のリンク経由で計測用パラメータが付加された状態でリンクされる事も考慮して、canonicalは静的ページにも適用したいところです。
また、よくある例として、商品詳細ページと印刷用ページ等の全く同じページの場合は、印刷ページのcanonicalに商品詳細ページのURLを設定したいですね。
PCとスマホサイトの相互リダイレクト
PCからスマホサイトを閲覧しようとした時、スマホサイト側はPCサイトにリダイレクトします。
スマホからPCサイトを閲覧しようとした時、PCサイト側はスマホサイトにリダイレクトします。
可能であればリダイレクト先をTOPページにせず、ちゃんと検索ページ・検索結果ページ・詳細ページ、等を相互リダイレクトしたいですね。
しかしスマホサイト側だけ別会社が作成していて、両者でURL構造・パラメータ構造が全く異なる事があり、現実的に難しい事が多いようです。
その場合は、トップページと商品詳細ページだけでも対応したいところです。
しかしこれを対応すると、スマホでPCサイトを見たい人が見る事ができなくなるデメリットはあります。最近はスマホが巨大化してきているため、スマホでもPCサイトを見ようと思えば見る事ができるので、相互リダイレクトは良い事なのか?と疑問に思うこともあります。まあスマホサイトはスマホに最適化しているでしょうから、意味はあるのでしょうね。
リッチスニペット
https://support.google.com/webmasters/answer/185417?hl=ja
最低限パンくずだけは対応したいですね。
- 人物
- 商品
- パンくず
- イベント
- 音楽
- 組織
- レシピ
- レビューの評価
- レビュー
が現在リッチスニペットに対応していますね。
レビューのリッチスニペットはやってはいけない、知らないと危険な事があります。
例えば楽天のアフィリエイトAPIで商品のレビューを取得できますが、これを自分のサイトのリッチスニペットで表示するのはNGのようです。知らないとやってしまいそうですね。自分のサイトで実装したレビューデータを表示せず、他社のレビューをリットスニペットに設定しないよう注意しましょう。
handheld
まだまだガラケーが存在するので、優先度低めでhandheldは設定しておきたいところです。
hreflang
多言語対応しているサイトは是非設定しておきたいですね。
ログインが必要なページ等へのnoindex,noarchive
例えば自分達とクライアントだけが使う管理画面は、問答無用でnoindex,noarchiveを付けておけば、インデックス化も防げるし、キャッシュされる事故も起きなくなって安全です。テンプレートエンジンを使っているなら、管理画面用のテンプレートに強制的に埋め込まれるようにするとよいでしょう。
その他には、お問合せ確認・完了画面等、URL直打ちされると都合が悪いページにも付けておくといいでしょう。
昔こんな感じでURLパラメータ付きの状態のURLがインデックスされて漏洩騒ぎになる事例があったので、確認画面と完了画面にはnoindexとnoarchiveは付けておきたいですね。
通常確認画面・完了画面には直リンク防止としてトークンチェックを行いますが、チェック漏れ等の事故が起きる可能性もあります。
IP制限漏れやトークンチェック漏れ等の事故を考えると、やはり危ないページにはnoindex,noarchiveを付けておきたいですね。
robots.txt
例え現状使っていないとしても、後から設定できるように、事前に空のrobots.txtを用意して参照できるようにした方がいいでしょう。
検索結果内の検索ボックス
これは新し目の要素です。JSON-LD等でマークアップしておくと、検索ボックスをある程度コントロールできるようです。サイトにフリーワード検索がある場合は是非設定しておきたいですね。
この機能は基本的にトップページのみに設定しておくといいそうです。
googleアナリティクス等のトラッキングタグの準備
最低でもGAは入れておきましょう。SEO業者もウェブマスターツールとGoogle Analyticsを使った解析をするので、お互い必要になります。
注意点として、最近様々な解析タグが登場してきています。すると「あのタグを追加してくれ」「このタグも追加してくれ」と、解析タグだけになります。すると、「あれ?このタグってどのページに入れるのが正解なんだっけ・・・?」となりがちなので、どのページにどのタグを入れるかはちゃんと管理した方がいいでしょう。
解析タグだけでなくコンバージョンタグも同様に沢山あるので、管理すべきでしょう。
その先にすべき事
このくらいはSEO業者に依頼する前にやっておきたいものですね。
ではこの先にどうするか、です。
ここから先はサイトのテーマや戦略等が密接に関連してくるので、そこをSEO業者と話合い、どうせ施策くしていくか検討するといいと思います。
「canonicalガー」「h2の数ガー」「重複コンテンツガー」なんていうのはgoogleが前述のURLで全部対応方針等を教えてくれるので、SEO業者にそんな事を指摘させるのは勿体無いです。
ここまで対応して「◯◯ガー」しか言えないような業者はダメな悪い業者です。その先を対応していけるのが良い業者です。
これから先に対応する具体的な施策は恐らく、title・descriptionの最適化、ページ内キーワードの選定と最適化、競合が少ないキーワードの対応、外部施策、コンテンツの追加、等かと思います。
もし外部施策が「サテライトサイトの量産」や「使い捨てブログでサイトを紹介しまくる」等の低品質な事をする業者は、悪い業者です。
雑感
世の中には悪いSEO業者が蔓延っているようで、前述のgoogleが教えてくれるSEO対策しか知らない業者がいたりします。格安業者の場合はgoogleのサイトに載っている事をそのまま言うだけのスキルしかない場合もあります。そんな業者は存在価値が0なので、今すぐ消えて欲しいですね。
私的には、事前に対応しておく事はさっさと対応してしまって、如何に良質コンテンツを増やすかを考えたいです。
例えば商品を検索できるECサイトがあったとして、とある会社から商品データが毎日送られてくるとします。そのデータは実は他社に沢山配布されているもので、実は色々なサイトで全く同じデータを違う形で表示しているだけ、というケースは結構多いです。
データに差がないなら、そのデータに自分達だけで作ったオリジナルデータでも付加しないと、他社と差がつきません。しかしその努力をせず、「SEO業者に依頼すれば順位が上がるんだろ?」という考えのクライアントが多く、努力する事自体を嫌う傾向があるように思えます。
こういった他力本願な体制を早く脱却して、自分達でコンテンツを生み出せるようになって欲しいなあ、そのために管理画面が必要なら作るんだけどなあ、と考えていますが、世の中努力する事を嫌う人が多く、ちょっと残念だなと思っています。