定期的にこのネタが現れるので、今回もこの記事の事を考えてみます。
今回のお題は以下の記事です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150404/k10010038361000.html
まずは記事の概要をつかむ
この記事の重要なワード
- IT業界で技術者の不足が深刻になっている
- 大型のシステム開発の案件が増えている
- ベトナムやインドなどアジア各国でITを専攻した学生に日本で働いてもらおうと、日本語学校への留学や卒業後の就職を支援する
- 2020年には技術者としての在留資格などで日本のIT業界で働く外国人を今の2倍に当たる6万人にまで増やしたい
大まかにこんな感じです。
このワードから解ること
IT業界で技術者の不足が深刻になっている
IT技術者が足りない。
大型のシステム開発の案件が増えている
大型SI案件がある。
ベトナムやインドなどアジア各国でITを専攻した学生に日本で働いてもらおうと、日本語学校への留学や卒業後の就職を支援する
アジアの学生を日本で働かせたい。
2020年には技術者としての在留資格などで日本のIT業界で働く外国人を今の2倍に当たる6万人にまで増やしたい
IT業界の外国人を2倍に増やしたい。
このワードを組み合わせる
大型SI案件があるんだけど、IT技術者が足りないから、アジアで働く学生を、2020年には2倍にしたい。
・・・・・さて、なんかおかしいですね、このワード。
なんかおかしい
大型案件と学生
記事中にはマイナンバー制度が例に挙がっています。そして経済産業省がこれを言っています。
お役所の頭の中は「IT = SI案件」です。決してtwitterやFacebook等の自社サービスではありません。
そして次は「学生」というワード。10年前くらいならいざしらず、最近の学生がわざわざSI業界を目指すでしょうか?今まで散々ブラックブラック言われてきた大半の原因はSI業界にあるのに、それでも目指すと思うでしょうか。日本だけでなく、世界的にweb系の自社サービス開発を目指す学生が増えてきています。それなのに、SI大型案件に学生を投入したい、と言っています。
そもそもなんで学生なんでしょう?大型SI案件に例えば6万人の新人IT技術者を投入すると、その案件は成功するのでしょうか?
しませんね。6万人の新人より、10人の精鋭の方が成功率は圧倒的に上です。ITは能力によって100倍どころではなく1億倍(言い過ぎ?)くらい平気で効率に差が出ます。それなのに何故「学生」なのでしょう。
何かがおかしい、一体何が?
40年以上の歴史と延べ1,700万人が申し込んだ実績を誇る我が国の情報処理技術者試験及びスキル標準をアジアなどへ展開することによって、グローバル社会に対応した高度IT人材の育成・人材の流動化を推進しております。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/index.html#p04
この辺に経産省のIT人材の育成について、色々書かれています。しかしここには「和製」と書かれています。このページには和製というか、日本人が世界に通用するグローバルな人材育成を掲げています。しかし今回の記事は「アジアの学生」と言い出しています。おかしいですね。言っている事がコロッと変わってしまいました。
では一体何が目的なのか?
私はズバリ「IT業界の外国人を2倍に増やしたい」に真意があると思っています。というか、そこにしか目的が無いように見えます。
国籍問わず、IT業界の人員を増やす数値的目標があるのか、海外の単価が激安な学生を安価に酷使し、壊れたら新しい奴隷にすげ替えたいと思っているのか、何れにせよろくな思惑ではないように思えます。
しかし最近ではオフショアも単価が上がってきており、言語の違いによるコミュニケーションコストを相殺しにくくなってきています。そこで目をつけたのが「学生」なのかもしれませんね。業界の闇について知らない学生をいいように使おうという黒い思惑が見えてしまいます。
もしくは「移民」としてのアジアの学生という線もありそうです。
雑感
どうも最近日本人よりも海外の人たちをあからさまに優遇するような風潮が見受けられますね。
最近こういう記事(和製Googleを!みたいな奴とかも)を見る度に思います。本当はITの事なんてどうでもいいと思っているのではないか、と。なんか悲しくなりますね、こういうのって。

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