文系プログラマによるTIPSブログ

文系プログラマ脳の私が開発現場で学んだ事やプログラミングのTIPSをまとめています。

IT業界でプライベートで勉強するかどうかの理想と現実

例のシャッチョさんの第二弾的な記事が賑わっていたので、見てみました〜

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axia.co.jp

こちらの記事になります。

雑な概要

シャッチョさんの会社には昔、プライベートでは勉強しないAさんというエンジニアがいて、周りや後輩にどんどんスキル負けする事に悩んでいました。

その会社ではプライベートの勉強は強制しておらず、自分の人生なんだからプライベートの時間を家族との時間に費やすのも自由だぜ、と主張しています。

シャッチョさんは悩んでいる彼に対して「プライベートで勉強するしかないんじゃないか?」と言うと、「絶対に勉強したくないでござる」と返ってきましたとさ。めでたしめでたし。


んでんで、前回の記事同様に賛否両論が有るらしく、ブコメは光速で1000超えしているわけです。

多かった主張

文章を読んでいない・理解していないブコメ以外を見て、個人的に以下の意見が目に付きました。

  • 業務時間内に勉強させろ。
  • 業務時間内に勉強してはいけない。
  • Aさんは御社にマッチしていない。採用ミス。
  • 給料上げれば解決。
  • 勉強が必要なのはIT業界に限らない。
  • 努力しても報われないからやらない。

相反する意見も出てました。

この中で「今の日本では努力しても報われない」という意見ですが、最近僕らのKeisuke Honda選手が以下の発言をされています。


成功は保証はされないが、成長は保証されてる」との事です。

今回の記事に言い換えると「プライベートの勉強は給料アップに繋がる保証はないが、Aさんの成長は保証されてる」です。

Aさんは必敗する環境に悩む

Aさんの環境

  • 入社時に数ヶ月の研修有り。業務に必要な事なら、業務時間内に研修を受けさせて貰っている。
  • プライベートに勉強しないでござる

周りの人の環境

  • 入社時に数ヶ月の研修有り。業務に必要な事なら、業務時間内に研修を受けさせて貰っている。
  • プライベートに勉強するでござる


さてさて、Aさんと周りの人達は、業務時間内では全く同じ環境ですが、業務時間外では異なる環境です。

で、この環境でAさんは「負ける事に悩んでいる」と言いますが、プライベートでは絶対勉強したくありません。

環境差がプライベートの勉強有無しか無いので、どう考えてもその悩みを解消させる事ができず、シャッチョさんは困ったわけです。

誤解を生んでいる部分について

シャッチョさんの会社では残業0を掲げているのですが、この「残業0」と「プライベートで勉強」という矛盾する単語が誤解を生んでいるように見えました。

この誤解を生むポイントはAさんがプライベートで勉強する人との差に悩んでいるという点にあります。

もし悩んでいなければ、この件は「Aさんは人生の中で仕事よりプライベートに重きを置いたので、それで差が生まれました」となるので、シャッチョさんはAさんに対してエンジニアに向いてないなんて言わず、この記事を投稿する事もしなかったでしょう

しかしAさんは悩んでいて、Aさんと他の人の環境差がプライベートの勉強有無しか無いので、じゃあプライベートで勉強するしか無いじゃん?となり、無い物ねだりをするAさんに対してエンジニアに向いてないと発言しているのだと推測しています。

悩むくらいなら勉強しよう、それでも勉強したくないのだから、もうエンジニアに向いてないのでは?という事です。




この話はこれ以上話す事が無いのでここまでとします。

続いて、ブコメの中で「業務時間内外で勉強する」件について意見があったので、私も個人的な理想を書いてみます。

理想

業務時間内にどんどん勉強しよう

タスクが回せるのであれば、余った時間を好きな勉強に費やしましょう。

タスクが回せない(納期に間に合わない)状況で勉強の時間を割く事をOKとするかは、会社やマネージャーに要相談です。

また、最初から必ず業務時間内に勉強時間が確保できるスケジュールを顧客が容認できるなら、それがベストです。

業務時間外に勉強するという事

プライベートに勉強する事は一切強制しませんし、一切マイナス評価しません。会社の標準的な評価が正当に行われます。

ただし、プライベートに勉強した人のスキルが向上し、その努力が会社の利益に繋がった場合、プラス評価します

このプラス評価によって、プライベートに勉強した人と、勉強しなかった人には差が付きます。

現実

業務時間内に勉強する事への抵抗勢力

業務時間内に勉強するとは何事だ!」という意見の方がおり、その論理は「勉強は会社の業務内容に含まれていないから」というケースが多いです。

業務時間内に勉強させたからといって、それが会社への利益に繋がらないのであれば、会社は拒否反応を起こします。

確かに一理あります。

この意見について、私は以下のように思っています。

  • 業務時間とプライベートはキッチリ分け、自分の人生(プライベートに何をするか)を自分で決めた方が幸せである。
  • 業務時間内に勉強する事で、結果として会社の利益に繋がるのであれば、やらせた方がよい。
  • 新技術・新手法の研究等は、必ず良い結果が生まれるわけではないので、仮に何の成果も出なかったとしても許容する。

業務時間外に勉強する事

勉強辛い。超辛い。

はい。

人間は本当に好きな分野以外を勉強すると、強いストレスを感じ、やる気を失います。

この業界は近年細分化が進みすぎて、分野の数が増えていってます。すると、特定の言語で特定のプログラムを書く事は好きでも、そこから一歩でも外れるとやりたくなくなります。分野が増えているせいで、好きではない分野も自然に増えていき、やる気を失う機会も増えていきます。

なので、最初は意欲を持って勉強できますが、自分の好きな分野から外れる事を経験すると、一気に全体的に意欲を失い、いつしかプライベートで勉強する事自体をやめる(諦める)という人が増えていきます。

気になる分野の書籍を読んでも、好きな部分の章はあっという間に読了するのに、やや苦手・嫌いな部分の章が現れると、途端に拒否反応を示し、そこで読む事を終了してしまう事もあるのではないでしょうか。

それほど些細な事でモチベーションを喪失してしまう程、勉強というものは難しいと私は考えています。

会社の利益に繋がらない勉強

例えば今の会社ではAIを勉強しても全く意味が無く、たとえプライベートで勉強しても、おちんぎんが増える事はありません。

しかし、AIを必要としている他の会社に行くと、おちんぎんが増えます。

これはもう単純に需要と供給の話なので、需要が無い場所で「努力したのにおちんぎん増えない!」と憤っても仕方ないのです。今の会社でその需要を生み出す・生み出して貰うか、需要がある会社に移動するとよいと思います。

ただし、僕らのKeisuke Honda選手の言葉通り、自分自身の成長には繋がるので、今すぐに評価されなくても、結果的に転職がしやすくなったり、新たな概念を理解し覚える事で、今書いているプログラムをより良く書く能力が付く可能性があります。

「報われないから努力しない!」という姿勢はそれらの機会を逃し、(別の会社等で)プラス評価される機会を損失するので、個人的には勿体無いとは思いますね。

エンジニアに向いている・向いていない

エンジニアの向き・不向きについては正直全く解りません。私はまだ若輩なので「これができたら向いている」「これができないのは向いていない」を定義付ける自信は無いです。

実際、プライベートで勉強をする人が向いているかというとそうではなく、業務時間内の調査・実践だけで実力者になる方も大勢います。逆に、プライベートで勉強をしているのに、勉強の仕方が問題でなかなか実にならない方もいます。

中には最初から勉強好きな人しかこの業界に入ってはならない!等と過激な発言をされる方もいますが、前述のように実践だけ実力をつけてしまう方(恐らく元々素養があるか努力の仕方が上手い人)もいるので、わざわざ門戸を狭くして視野を狭め、色々な可能性を自ら排除してしまうのは勿体ないのではと思いますね。

また、給料据え置きでいいから勉強したくない!というのは全然有りで、その場合は技術要素が変化しにくく継続して仕事が有る、所謂長寿の保守案件がオススメで、実際そういう方は沢山います。新しい事をやりたい人が集まる会社では誰もそういった仕事をやりたがらないので、実は意外と需要が有ります。

ただ、cobolの例があるとはいえ10年間同じ仕事をし続ける事が可能かは解らないので、5年単位とかで勉強はしておいた方が将来安心はできると思います。

勉強は超辛く継続する事が超難しい

大部分の人間は怠惰であり、勉強が嫌いです。

かなり極端な例ですが、仮に

業務時間内に好きなだけ勉強してよいぞ。アーロンチェア・40インチディスプレイ・Threadripper 32コアCPU・メモリ64G・シーケンシャルread 3,400MB/s SSD・勉強用のawsアカウント、無料の食堂、全部用意してやるぞ。

と言われたとします。

で、「あなたは本当に勉強できますか?

勉強ってそんな簡単にできて、そんな簡単に継続できるものなのか?という疑問がどうしても拭えません。↑のスーパースペックの環境を与えられても尚、勉強をする事ができない人が多いと思ってます。

給料が上がると勉強できる?

「おちんぎんを増やせば解決理論」ですが、「今まで業務時間内やプライベートで勉強していない人が、おちんぎんが増えたら勉強するようになるの?」という疑問が湧きます。

おちんぎんによって勉強の辛さを克服できる強き人ってそんなに多いでしょうか?

極端な例ですが、仮にお金を持っている企業が「月給100万円やるから、業務時間内に勉強し、それに見合う結果を出せ」みたいな事を言われて、本当に勉強して、本当に結果が出せるでしょうか。一部の元々素養がある人以外は脱落するのではないかと思います。

そういった事を考えると、おちんぎんを今より増やしたからといって、本当に勉強する事ができる人(勉強するフリをしたりせず知識を増やす)は増えにくいのでは?と思ってしまうわけです。

※ おちんぎんを上げる必要は無い、というお話ではありません。

雑感

シャッチョさんの記事のブコメを見ていて、もうとにかく

勉強はそんな簡単にできないし継続できません!

と感じました。

そんな簡単に勉強するモチベーションが噴出するなら、みんな勉強しまくって日本の経済が急回復してるよ!、と思ってしまいました。

大部分の人は、興味を持って勉強をするのは若い間だけで、ある程度年を取ると環境の変化やモチベーションの低下によって勉強をやめてしまいます。ネット上を見ると頻繁に勉強をして継続している方が目立ちますが、実社会では勉強しない人、勉強をやめてしまった人、勉強の頻度が非常に低い人、の方が割合として多いように感じます。

なので、どちらかというと勉強を始めて且つ継続するにはどうしたらいいか?等を考えていかないといけないと思います。まずその勉強の意欲が無ければ、たとえが業務時間内の勉強が許可されたとしても、エア勉強をしてしまったり、ソリティアしてるだけだったりすると思います。

今勉強を楽しいと感じていて、それを継続できている方がいれば、それはとても素晴らしい事です。これからもその意欲を失わず、周りの人に勉強の楽しい部分や継続するモチベーションの保ち方等を伝授していって欲しいですね。


ちなみに私は、興味のある分野の書籍を購入 → ちょっと読む → 面白いー! → 今日は仕事で疲れたから読まない → 積む、を繰り返してます・・・。更に勉強意欲に非常にムラがあるので、一時的に特定の分野に興味を持って一気に書籍を読み、その実践としてサイトを開発・公開する時もあれば、無気力に何もしない日が続く事もあります。勉強意欲・モチベーションの維持は本当に難しいものです。